e(ネイピア数)の定義
自然対数の底\(e\)はネイピア数と呼ばれ、以下で定義されます。
$$e = \displaystyle \lim_{t \to 0} (1+t)^\frac{1}{t} \tag{1} $$
また\(\displaystyle t=\frac{1}{s}\)とおくと、\(t \to 0\)より\(s \to \infty\)となり、
$$ e = \displaystyle \lim_{s \to \infty} (1+\frac{1}{s})^s \tag{2} $$
と表すこともできます。上記の定義はしっかりと覚えておきましょう。ちなみに
$$ e = 2.71828182845904523536 \cdots\cdots$$
といった値となります。
微分係数、指数関数の微分の公式
あらためて微分係数の定義を思い出しましょう。微分係数の定義は以下ですね。
$$ f^{\prime}(x) = \lim_{h \to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h} \tag{3} $$
ここで指数関数\(a^x、e^x\)の微分を考えます。指数関数の微分公式は、
\begin{eqnarray}
(a^x)^{\prime} & = & a^x \log a \tag{4} \\
(e^x)^{\prime} & = & e^x \tag{5}
\end{eqnarray}
です。特に式(5)は、指数関数を微分した導関数が元の関数になることを示しています。このときの底をeと定義しています。案外、ここが重要です。
微分係数から\(e^x\)の導関数を導出
ここで、式(3)から改めて指数関数\(e^x\)の微分を求めてみます。
\begin{align}
f^{\prime} (x) & = \lim_{h \to 0} \frac{e^{x+h}-e^x}{h} \\
& = \lim_{h \to 0} \frac{e^x(e^h-1)}{h} \\
& = e^x \lim_{h \to 0} \frac{e^h-1}{h} \\
\end{align}
ここで\(f^{\prime} (x) = e^x \) となるには、\( \displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{e^h-1}{h} = 1\) だから、
\begin{align}
e^h-1 & = h \space (h \to 0 のとき)\\
e^h & = 1 + h \\
e & = (1+h)^\frac{1}{h} \\
∴e & = \displaystyle \lim_{h \to 0} (1+h)^\frac{1}{h}
\end{align}
となり、式(1)の定義が求まります。指数関数を微分して元の関数になることが起源ですね。