不定方程式は、方程式の数よりも未知数の数が多い方程式のことです。たとえば、\( x,y \) の文字が2つあった場合、2つの方程式があれば、これを連立方程式と呼び、\( x,y \) を求めることができます。一方、式が1つしかない場合には不定方程式と呼ばれ、解が無数に存在します。大学入試問題では不定方程式で解を整数解だけに限定して解を求めさせる問題が非常によく出題されます。
まず、与えられた式を満たす整数解(特殊解)の1つを見つけます
\begin{eqnarray}
& (x,y) = (4,3) \\
& 1 \cdot 4 + 2 \cdot 3 = 10 \ \cdots \ ①
\end{eqnarray}
次に与えられた式と特殊解の式(①)の両辺を引ます
\begin{eqnarray}
& (x-4)+2(y-3)=0 \\
& x-4=-2(y-3) \\
\end{eqnarray}
\( y-3=k \) (\(k\):任意の整数)とおくと、
\begin{eqnarray}
x-4 & = & -2k (k:任意の整数) \\
x & = & -2k+4
\end{eqnarray}
よって、
\begin{cases}
x=-2k+4 \\
y=k+3 (k:整数)
\end{cases}
特殊解が見つからない場合、右辺を1で考えます
\( 5x+7y=1 \) を満たす整数解 \( (x,y) \) を考える。
\begin{eqnarray}
& (x,y) = (3,-2) \\
& 5 \cdot 3 + 7 \cdot (-2) = 1 \\
& 5 \cdot (3 \cdot 10) + 7 \cdot (-2 \cdot 10) = 10 \cdots ②
\end{eqnarray}
となり、与えたられた式を満たす解(特殊解)として \( (x,y)=(30,-20) \) が見つかります。
次に与えられた式と特殊解の式(②)の両辺を引ます
\begin{eqnarray}
& 5(x-30)+7(y+20) = 0 \\
& 5(x-30) = -7(y+20)
\end{eqnarray}
ここで、\( 5,7 \) は互いに素だから、\( y+20 \) は5の倍数となるため、\( y+20=5k \) (\(k\):任意の整数)とおける。
\begin{eqnarray}
& 5(x-30)=-7 \cdot 5k \\
& x-30 = -7k \\
& x = -7k+30
\end{eqnarray}
よって、
\begin{cases}
x = -7k+30 \\
y = 5k-20 (k:整数)
\end{cases}
ユークリッドの互除法で特殊解を求めます
1つの解が思いつかない場合、右辺の値を1でユークリッドの互除法で求めます。
\begin{array}{lll}
366 \div 115 = 3 \cdots 21 & \to & 21 = 366 – 115 \times 3 \cdots ③ \\
115 \div 21 = 5\cdots 10 & \to & 10 = 115 – 21 \times 5 \cdots ④ \\
21 \div 10 = 2 \cdots 1 & \to & 1 = 21 – 10 \times 2 \cdots ⑤
\end{array}
割られる数(法)を余りで割った式を、余りについて整理した右の式を順に代入していくと、
\begin{array}{lll}
1 & = & 21 – 10 \times 2 \\
& = & 21 – ( 115 – 21 \times 5 ) \times 2 (∵④を代入)\\
& = & 21 \times 11 – 115 \times 2 \\
& = & ( 366 – 115 \times 3 ) \times 11 – 115 \times 2(∵③を代入) \\
& = & 366 \times 11 – 115 \times 35
\end{array}
よって、
\begin{eqnarray}
& 115 \cdot (-35) + 336 \cdot 11 = 1 \ \cdots \ ⑥ \\
& (x,y) = (-35,11) \\
\end{eqnarray}
同じように与えられた式と特殊解の式(⑥)の両辺を引ます
\begin{eqnarray}
& 115(x+35) + 336(y-11) = 0 \\
& 115(x+35) = -336(y-11)
\end{eqnarray}
ここで、\( 115=5 \times 23, \ 336 = 2^4 \cdot 3 \cdot 7 \) となり互いに素だから、\( y-11 \) は \( 115 \) の倍数となるため、\( y-11=115k \) (\(k\):任意の整数)とおける。
\begin{eqnarray}
& 115(x+35) = -336 \cdot 115k \\
& x+35 = -336k \\
& x = -336k-35
\end{eqnarray}
よって、
\begin{cases}
x = -336k-35 \\
y = 115k+11 (k:整数)
\end{cases}