【問題】連立3次方程式(2021年千葉大学・後期)

数学
2021年 千葉大学 後期

実数 \( a,b,c \) が次の \( 3 \) つの等式を満たすとする。
\begin{equation}
\left\{
\begin{array}{l}
-a+2b+2c=2 \\
a^2+4b^2+4c^2=20 \\
-a^3+8b^3+8c^3=8 \\
\end{array}
\right .
\end{equation}
以下の問に答えよ。
(1)\( abc \) を求めよ。
(2)\( a<b<c \) を満たす組 \( (a,b,c) \) をすべて求めよ。

【解説】

与えられた式を\( -a,2b,2c \) の文字式で置き換えられることに気付けけるかがポイントです。あとは以下の因数分解(式変形)を利用すると \( a,b,c \) の積を求めることができます。以下の因数分解は忘れがちですが、しっかりと覚えておきましょう。

【因数分解】
\begin{equation}
\begin{array}{l}
x^3+y^3+z^3-3xyz \\
\hspace{10pt} = (x+y+z)(x^2+y^2+x^2-xy-yz-zx)
\end{array}
\end{equation}

【解答】

(1)\( A=-a, \ B=2b, \ C=2c \) とおくと
\begin{equation}
\left\{
\begin{array}{ll}
A+B+C=2 & \cdots ① \\
A^2+B^2+C^2=20 & \cdots ② \\
A^3+B^3+C^3=8 & \cdots ③ \\
\end{array}
\right .
\end{equation}
②より
\begin{eqnarray}
(A+B+C)^2-2(AB+BC+CA) &=& 20
\end{eqnarray}
①を代入すると
\begin{eqnarray}
2^2-2(AB+BC+CA) &=& 20 \\
AB+BC+CA &=& -8 \cdots ④
\end{eqnarray}
ここで
\begin{equation}
\begin{array}{l}
A^3+B^3+C^3-3ABC \\
\hspace{10pt} = (A+B+C)(A^2+B^2+C^2-AB-BC-CA)
\end{array}
\end{equation}
①②③④を代入すると
\begin{eqnarray}
8-3ABC &=& 2 \times \{20-(-8)\} \\
∴ABC &=& -16 \cdots ⑤
\end{eqnarray}
よって
\begin{eqnarray}
(-a) \cdot 2b \cdot 2c &=& -16 \\
-4abc &=& -16 \\
abc &=& 4 \cdots (答)
\end{eqnarray}

(2)①④⑤より、解と係数の関係から \( A,B,C \) を \( 3 \) つの解とする \( 3 \) 次方程式は、
\begin{equation}
t^3-2t^2-8t+16 = 0 \\
t^2(t-2)-8(t-2)=0 \\
(t-2)(t^2-8)=0 \\
∴t=2, \pm2\sqrt{2}
\end{equation}
ここで、\( a=-A, b=\frac{B}{2}, c=\frac{C}{2} \) だから、
\begin{equation}
a<b<c \\
-A<\frac{B}{2}<\frac{C}{2} \\
-2A<B<C \cdots ⑥
\end{equation}
⑥を満たす \( A,B,C \) の組は、
\begin{equation}
(A,B,C)=(2\sqrt{2},-2\sqrt{2}, 2), (2,-2\sqrt{2},2\sqrt{2})
\end{equation}
よって
\begin{equation}
(a,b,c)=(-2\sqrt{2},\sqrt{2}, 1), (-2,-\sqrt{2},\sqrt{2}) \cdots (答)
\end{equation}

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