【問題】「2のn乗 > nの2乗」を満たす自然数nの範囲を求める(1979年京大)

数学
1979年 京都大学 文系第5問

\( 2^n > n^2 \) を満たす自然数 \( n \) の範囲を求めよ

【解説】

まずは実験(試行)してみましょう。
\begin{equation}
\begin{array}{c|c|c}
n & 2^n & n^2\\
\hline
1 & 2 & 1 \\
2 & 4 & 4 \\
3 & 8 & 9 \\
4 & 16 & 16 \\
5 & 32 & 25 \\
6 & 64 & 36 \\
\cdots & \cdots & \cdots
\end{array}
\end{equation}
となり、\( n=1 \) と \( n \ge 5 \) で成り立ちそうです。数学的帰納法を使えば証明できそうですね。

【解答】

\( 2^n > n^2 \cdots ① \)
\begin{equation}
\begin{array}{c|c|c}
n & 2^n & n^2\\
\hline
1 & 2 & 1 \\
2 & 4 & 4 \\
3 & 8 & 9 \\
4 & 16 & 16 \\
\end{array}
\end{equation}
となり、①は \( n=1 \) で成り立ち、\( n=2~4 \) では成り立たない。
次に \( n \ge 5 \) で成り立つことを考える。

i) \( n=5 \) のとき
\( 2^5=32、5^2=25 \) となり、①は成り立つ

ii) \( n=k \) で①が成り立つと仮定すると、
$$ 2^k > k^2 \cdots ② $$
次に \( n=k+1 \) の場合を考える
\begin{eqnarray}
2^{k+1} – (k+1)^2 &=& 2 \cdot 2^k – (k+1)^2 \\
&\ge& 2 \cdot k^2 – (k+1)^2 \ (∵②)\\
&=& k^2 – 2k -2 \cdots ③
\end{eqnarray}
ここで \( f(k) = k^2 – 2k -2 = (k-1)^2 -2 \) とおくと、\( k \ge 5 \) で \( k=5 \) のとき最小値となるため、
$$ k^2 – 2k -2 \ge f(5) = 14 \cdots ④ $$
③④より、
\begin{equation}
2^{k+1} – (k+1)^2 \ge 14 > 0 \\
∴ 2^{k+1} > (k+1)^2
\end{equation}
となり、\( n=k+1 \) の時も成り立つ。

i)、ii) より、数学的帰納法によって①は \( n \ge 5 \) で成り立つ。

以上より、求める \( n \) の範囲は、\( n=1、n \ge 5 \) の整数となる。

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