剰余定理と因数定理
高次方程式を解く場合、因数分解しなければなりません。その時に重要になってくるのが、因数定理です。改めて因数定理、剰余定理を確認しましょう。
\( P(x) \) を \( x-a \) で割ったときの商を \( Q(x) \)、余りを \( R \) とすると、
$$ P(x)=(x-a)Q(x)+R \tag{1} $$
が成り立ちます。式(1)の両辺に \( x=a \) を代入すると、\( P(a)=R \) となり、\( P(a) \) は余りとなります。\( x-a \) で割り切れる場合は\( R=0 \) だから、\( P(a)=0 \) となります。
因数定理から \( P(\alpha)=0 \) を満たす \( \alpha \) を見つけることで、\( x-\alpha \) で割り切れる、すなわち、因数に持つことがわかります。\( P(\alpha)=0 \) を満たす \( \alpha \) を見つける方法として以下を利用します。
例題1
\( x^5+3x^2 \) を \( (x-1)(x-2) \) で割ったときの余りを求めよ。
【解答】
\( P(x)=x^5+3x^2 \) とおき、求める余りを \( ax+b \) とおくと
$$ P(x) = x^5+3x^2 = (x-1)(x-2)Q(x)+ax+b \ \cdots \ ① $$
とおける。①に \( x=1,2 \) を代入すると、
$$ \left\{
\begin{array}{lll}
P(1) & =4=a+b & \cdots ② \\
P(2) & =44=2a+b & \cdots ③
\end{array}
\right. $$
②③から \( a=40, \ b=36\) となり、求める余りは \( 40x+36 \) となる。
例題2
\( x^5+3x^2 \) を \( (x-1)^2 \) で割ったときの余りを求めよ。
【解答1】
求める余りを \( ax+b \) とおくと
$$ x^5+3x^2 = (x-1)^2Q(x)+ax+b \ \cdots \ ① $$
とおける。①に \( x=1 \) を代入すると、
$$ 4 = a+b \ \cdots \ ② $$
ここで
\begin{array}{l}
①の右辺 & = (x-1)^2Q(x)+a(x-1)+a+b \\
& = (x-1) \left\{ (x-1)Q(x) + a \right\} + 4 \ \ (∵a+b=4) \\
①の左辺 & = (x-1)(x^4+x^3+x^2+4x+4)+4
\end{array}
上記から
\begin{array}{l}
(x-1) \left\{ (x-1)Q(x) + a \right\} + 4 & = & (x-1)(x^4+x^3+x^2+4x+4)+4 \\
(x-1)Q(x) + a & = & x^4+x^3+x^2+4x+4 \ \cdots \ ②
\end{array}
となる。②に \( x=1 \) を代入すると \( a = 11 \) となり、①より \( b = -7 \) となる。
よって、求める余りは \( 11x-7 \) となる。
【解答2】
微分を使って求めることもできます。こちらのほうが簡単かも。。。
求める余りを \( ax+b \) とおくと
$$ x^5+3x^2 = (x-1)^2Q(x)+ax+b \ \cdots \ ① $$
①に \( x=1 \) を代入すると、
$$ 4 = a+b \ \cdots \ ② $$
ここで①の両辺を \( x \) で微分すると、
$$ 5x^4 + 6x = 2(x-1)Q(x) + (x-1)^2 Q^{\prime}(x) + a \ \cdots \ ③ $$
③に \( x=1 \) を代入すると \( 11=a \) となり、さらに②より \( b=-7 \) となる。
よって、求める余りは \( 11x-7 \) となる。