【問題】最小公倍数(2021年北九州市立大)

数学
2021年 北九州市立大学 国際環境工学部 第1問

最小公倍数が \( 180 \) である \( 2 \) つの自然数 \(a, b \) の組のうち、\( a \) と \( b \) の和が \( 105 \) となる \( (a,b) \) を求めよ。ただし、\( a < b \) とする。

【解説】

最小公倍数を扱った問題です。解答で「\( a \) と \( b \) が互いに素なとき、\( a \) と \( b \) の和と積は互いに素となる」ことを利用しています。末尾に証明を示しましたので、参照してください。
また練習がてら、こちらの問題もお試しください。

【解答】

\( a, b \) の最大公約数を \( g \) とし、
\begin{equation}
\begin{array}{l}
a=ga^{\prime} \\
b=gb^{\prime} \\
ただし、a^{\prime}, b^{\prime} は a^{\prime}< b^{\prime} であり、互いに素な自然数
\end{array}
\end{equation}
とおくと、\( a, b \) の最大公約数が \( 180 \)、\( a \) と \( b \) の和が \( 105 \) であるから
\begin{eqnarray}
&& ga^{\prime}b^{\prime} = 180 = 2^2 \cdot 3^2 \cdot 5 \\
&& ga^{\prime} + gb^{\prime} = g ( a^{\prime}+b^{\prime} ) = 105 = 3 \cdot 5 \cdot 7
\end{eqnarray}
ここで、\( a^{\prime} \) と \( b^{\prime} \) は互いに素であり、\( a^{\prime}b^{\prime} \) と \( a^{\prime}+b^{\prime} \) は互いにとなるので、\( g \) は \( 180 \) と \( 105 \) の最大公約数となる。\( g=15 \) となるので、
\begin{eqnarray}
&& a^{\prime}b^{\prime} = 2^2 \cdot 3 \cdots ① \\
&& a^{\prime}+b^{\prime} = 7 \cdots ②
\end{eqnarray}
①②と \( a^{\prime}< b^{\prime} \) を満たす \( a^{\prime}, b^{\prime} \) は、
\begin{eqnarray}
( a^{\prime}, b^{\prime} ) &=& (3,4) \\
∴( a, b) &=& (45,60) \cdots (答)\\
\end{eqnarray}

ここで、黄色下線分の「\( a \) と \( b \) が互いに素なとき、\( a \) と \( b \) の和と積は互いに素となる」ことを考えてみます。

命題の待遇を考え、「\( a \) と \( b \) の和と積が互いに素でないとき、\( a \) と \( b \) は互いに素ではない」ことを証明すればよい。

\( ab \) と \( a+b \) が公約数 \( k \) をもつとすると、
\begin{eqnarray}
a+b = kx \cdots ①\\
ab = ky \cdots ② \\
(ただし x,y は整数)\\
\end{eqnarray}
②より、\( a, b \) のいずれかは素因数に \( k \) をもつ。ここで \( a \) が \( k \) を素因数にもつとしても一般性は失わないので、\( a= k a^{\prime} \) とする。②より
\begin{eqnarray}
b &=& ( a+b) – a = kx – ka^{\prime} = k ( x-a^{\prime}) \\
\end{eqnarray}
となり、\( b \) は素因数に \( k \) をもつ。よって、\( a, b \) は互いに素ではない。

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