【問題】連立方程式(2017年一橋大学)

数学
2017年 一橋大学 前期 第2問

連立方程式
\begin{equation}
\left\{
\begin{array}{l}
x^2 = yz+7 \\
y^2 = zx+7 \\
z^2 = xy+7
\end{array}
\right.
\end{equation}
を満たす整数の組 \( (x,y,z) \) で、\( x \le y \le z \) となるものを求めよ。

【解説】

対称性のある整数の連立方程式です。対称性がある場合、各式の和や差から計算します。整数という条件から、とりうる値の範囲を絞っていくと良いでしょう。

【解答】

\begin{equation}
\left\{
\begin{array}{l}
x^2 = yz+7 \cdots ① \\
y^2 = zx+7 \cdots ② \\
z^2 = xy+7 \cdots ③
\end{array}
\right.
\end{equation}

①-②より
\begin{equation}
x^2-y^2 = yz-zx \\
(x-y)(x+y) = -z(x+y) \\
(x-y)(x+y+z) = 0 \\
∴x=y または x+y+z=0 
\end{equation}

②-③より
\begin{equation}
y^2-z^2 = zx-xy \\
(y-z)(y+z) = -x(y-z) \\
(y-z)(x+y+z) = 0 \\
∴y=z または x+y+z=0 
\end{equation}

\( x+y+z \ne 0 \) と仮定すると、\( x=y かつ y=z \) すなわち \( x=y=z \) となる。このとき①は、
\begin{eqnarray}
x^2 &=& x^2+7 \\
0 &=& 7
\end{eqnarray}
となり、矛盾が生じる。よって、\( x+y+z=0 \) となる。
また、\( x=0 \) とすると、②より \( y^2=7 \) となり \( y \) は整数とならない。よって \( x\ne0 \) となる。同様に、\( y\ne0,z\ne0 \) となる。

さらに \( x\le y \le z \) 関係より、\( x<0, z>0 \) でなければならない。よって \( xz<0 \) となる。よって②より
\begin{equation}
y^2 = xz+7 < 7 \\
∴y^2=1,4(∵y\ne0, y:整数)\\
y=\pm1,\pm2
\end{equation}

①に \( z=-(x+y) \cdots ⑤ \) を代入すると、
\begin{equation}
x^2=y\{-(x+y)\}+7 \\
x^2+xy+y^2-7=0 \cdots ④
\end{equation}

i) \( y=-1 \) のとき、④より
\begin{equation}
x^2-x-6 = 0 \\
(x-3)(x+2) = 0 \\
x=-2 (∵x<0) \\
z = -(x+y) = 3(∵⑤より)
\end{equation}

ii) \( y=1 \) のとき、④より
\begin{equation}
x^2+x-6 = 0 \\
(x+3)(x-2) = 0 \\
x=-3 (∵x<0) \\
z = -(x+y) = 2(∵⑤より)\\
\end{equation}

iii) \( y=-2 \) のとき、④より
\begin{equation}
x^2-2x-3 = 0 \\
(x-3)(x+1) = 0 \\
∴x=-1 (∵x<0) \\
ここで x \le y を満たさないので不適
\end{equation}

iv) \( y=2 \) のとき、④より
\begin{equation}
x^2+2x-3 = 0 \\
(x+3)(x-1) = 0 \\
x=-3 (∵x<0) \\
z = -(x+y) = 1(∵⑤より) \\
ここで y \le z を満たさないので不適
\end{equation}
i)~iv)より、求める整数 \( (x,y,z) \) は、

$$ (x,y,z) = (-2,-1,3), (-3,1,2) \cdots (答)$$

【別解】

上記で \( x+y+z=0 \) まで求める。
①+②+③より
\begin{equation}
x^2+y^2+z^2 = xy+yz+zx+21 \cdots ⑥ \\
(x+y+z)^2-2(xy+yz+zx) = (xy+yz+zx)+21 \\
3(xy+yz+zx) = -21 \\
xy+yz+zx = -7 \cdots ⑦
\end{equation}
⑦を⑥に代入すると、
\begin{equation}
x^2+y^2+z^2 = 14 \cdots ⑥ \\
\end{equation}
3つの整数の平方数の和が \( 14 \) となる組み合わせは、\( 1+4+9 \) のみ。\( \pm1, \pm2, \pm3 \) の組み合わせで、和が \( 0 \) となるのは、
$$ (1,2,-3),(-1,-2,3) $$
\( x \le y \le z \) だから、
$$ (x,y,z) = (-3,1,2), (-2,-1,3) \cdots(答) $$

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